経済思想と学派の流れ(重商主義、重農主義、古典派経済学、社会主義、共産主義、新古典派、修正資本主義、新自由主義)[画像で簡単に分かりやすく解説]

こんにちはユキドケです。

今回は、経済思想の流れについて話をします。

 

 

重商主義重農主義

16世紀から18世紀頃の経済では、貿易などを通して希少金属や財を蓄える重商主義が行われていました。

当時国はこの貿易に対して保護政策をしていました。

重商主義

この頃は「家内制手工業」という工業形態をとっており後に富を蓄えた人が設備投資をして従業員を雇う「工業制手工業(マニファクチュア)」が出てきます。

 

特にイギリスでは毛織物の需要が高まり農地を牧羊地としていく動きも出てきていました。
工業制手工業(マニファクチュア)

こういった流れに対して

ケネーが「重農主義」を唱えます。

 

農業だけが純生産物を作れるとし

重商主義保護貿易に反対をしていました。

重農主義
後に「産業革命」が起こり「工業制手工業(マニファクチュア)」から
機械を導入した工場が出来る様になっていきます。

資本主義

ここで、現在の資本主義の原形の様なものが出来ていきます。

①資本家が設備投資をする。

②労働者を雇い商品販売

③給料を払い残りは投資家の利益になる

 

この③の利益分配が後々問題視される様になっていきます。

アダムスミス(古典派経済学)

「経済学の父」ともいわれています。

彼の考え方は

①労働価値説

労働によって価値が生み出される。

沢山の労働力が必要な場合、価値が高いという考え方です。

 

②分業制

それぞれが得意な分野を伸ばして分業する事で生産性が上がる。

 

③経済的自由主義(レッセフェール)

経済は「神の見えざる手」によっていい感じになるので政府が何かをする必要はない。

政府は「外交、警察、軍」をやればいい。
アダムスミス(古典派経済学)

「神の見えざる手」とは何かというと

売り手側の高く売りたいという思いと

買い手側の安く買いたいという思いで

 

良い感じの値段に落ち着くという考え方です。

神の見えざる手

次に先程の「アダム・スミス」の後に出てきた古典派経済学者達も見ていきます。

「アダム・スミス」の後に出てきた古典派経済学者達

マルサス(人口論)

食糧の増加スピードに対して人口の増加スピードが速かった為、食糧危機を問題視していました。

なので、人口の抑制が必要。

しかし、それだけでは経済が増えないので一人当たりの消費増大によって経済を回すという考え方です。

 

ジョンス・チュワート・ミル

質的功利主義を唱えました。

物理的快楽よりも精神的快楽の方が尊いという考え方です。

同時に自由主義者でもあり他者に危害を加えない限り自由にして個性を伸ばすべきだといいます。

 

リガード(自由貿易)

彼の考えは「国際分業」により更に効率的な社会になるといいます。

また、分業の方法は「水平的分業」をすべきであるとしています。

 

フリードリッヒ・リフト(保護貿易)

発展途上国と先進国で自由貿易をすると先進国に途上国の産業が奪われるとして

発展するまでは自国産業を保護するべきだという「保護貿易」を唱えます。

 

彼は国の発展段階説も唱えていてその段階ごとに適した方法があるとしています。

カール・マルクス(社会主義共産主義)

彼の考え方は

①古典派資本主義の否定

貧富の差の拡大や恐慌時の対応など資本主義には問題があるという考え方です。

特に労働者が生み出した価値が資本家に搾取されているといっています。

ということから資本主義をやめて共産主義に移行すべきとしています。

 

社会主義

共産主義に移行するにあたりまずは社会主義を目指すべきとしています。

 

労働者中心にして資本家の搾取を無くします。

全ての人間に平等に富を分けます。

計画経済を行い無駄をなくします。

 

共産主義

完全に平等な社会にします。
カール・マルクス(社会主義・共産主義)

しかし、共産主義には問題がありました。

労働の質に関わらずに富を分配した事により頑張る必要性がなくなります。

これにより

 

努力の欠如、労働意欲の低下、消費者に寄り添わない、上昇志向の欠如

などが起きます。
共産主義の問題

結果として資本主義と比較した時に成長がありませんでした。

限界革命(新古典派)

アダム・スミスが唱えた労働価値説に対して

新古典派」によって効用価値説が唱えられます。

 

従来の労働量が価値である

に対して

水などの労働量が低く有用な物があるという考えを元に限界効用逓減説を作っていきました。

 

ビールは一杯目が一番おいしく。

その後、徐々においしさが減っていく様に

効用も一番初めが大きくその後徐々に減っていくという考え方です。

ジョン・メイナード・ケインズ(修正資本主義)

彼の考え方は

従来の政府は市場に介入すべきで無いという考え方から

不況時は政府の介入が必要であるという「修正資本主義」への転換を唱えます。

 

有効需要の原理

従来は供給が需要を生むと言っていました。

これを需要が供給を生むという考え方に変えました。

 

完全雇用

労働したい者は働けるようにすべき。

 

③不況時は政府が財政出動をして需要を作る

不況になると消費が減退して仕事が無くなり労働できなくなります。

この消えた消費を国家が肩代わりするという考え方です。

 

④国家は財政政策、財政制度、金融政策を行う。

財政政策によって公共事業を行いお金を配る。

財政制度で累進課税などを使って国民の格差を埋める。

金融政策で市場の金利やお金の量をコントロールする。
ジョン・メイナード・ケインズ(修正資本主義)

ミルトン・フリードマン(新自由主義)

彼の考え方は

①修正資本主義による財政赤字、インフレを批判

修正資本主義は始めるのは良いが止めようとしたり増税で政府の赤字を解消しようとする時に国民から批判がでます。

 

これにより財政赤字が膨らみました。

また、スタグフレーション(不況+インフレ)の時にばら撒きを行うとインフレがより進行してしまうという欠点もありました。

 

自由主義(アダム・スミスの時代)回帰

①の理由から「修正資本主義」止めてアダム・スミスの時代に戻ろうとい主張をします。

 

不況時は自己責任

国が運営している企業の民営化

規制緩和で自由な時代に戻ろうとします。

 

③通貨量コントロールは必要(マネタリズム)

アダム・スミスの時代に戻ろうとしているのですが

当時の国家が何もしない

というのが良いのかというとそうはいっていません。

彼の考えでは通貨のコントロールは経済に必要だとしています。
ミルトン・フリードマン(新自由主義)

自由主義の回帰が行われたのですが

ここで格差問題がまた出てきます。r>gの法則

トマピケティにより

世界中のデータを集めた結果

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投資家が得る利益の方が労働利益よりも多いという事が明かされます。

これにより

富の再分配が問題になっています。

マルクス主義

社会主義が失敗したマルクス経済学ですが

現在では新マルクス主義が唱えられています。

 

①資本主義では格差拡大、環境問題を解決できない。

自身の国でクリーンエネルギーを推進してもそのエネルギーを作る途上国では結局環境に悪い事を行わなくてはならず意味がないという意見です。

 

②脱成長主義

③資源のシェア(共同管理)

格差を生む成長を諦め今ある資源を皆でシェアすべきという意見です。
新マルクス主義

全体の流れ

全体の流れ

経済学派の流れ

先程までは主要な人物を紹介してきましたが、彼らの思想に共感した者が学派を作り様々な理論が作られました。

下の画像は学派の流れになります。

経済学派の流れ