経済発展段階説の主な種類[画像で簡単に分かりやすく解説]

こんにちはユキドケです。

今回は、経済段階発展説について話をします。

この記事を見る前に経済学の流れを知っておくとより理解が深まります。

 

フリードリヒ・リストの経済発展段階説

フリードリヒ・リストは経済の発展を5つに分類しました。

①未開状態

人々が狩猟や採集によって生活し経済の発展がほとんどない状態です。

 

②牧畜状態

家畜の飼育が始まり定住生活を行うようになります。

物々交換はあるが市場経済は未発達です。

 

③農業状態

農業を始めることにより生産性が向上、人口も増えて市場経済が発達していきます

 

④農工状態

農業と工業が共存し、都市が発展します。

国内産業の保護や育成が必要になります。

 

⑤農工商状態

十分に工業力を持ち、国際競争力がある状態です。

 

また、それぞれの段階で取るべき貿易政策は異なるとしています。

当時、世界に先駆けて産業革命を果たしたイギリス相手に自由貿易をしても自国産業は競争できないと考え保護して育てるべきだという意見を持っていました。

 

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ヒルデブラントの経済発展段階説

ヒルデブラントは経済発展を「交換手段(貨幣の発展)」の変化によって3つの段階に分類しました。

 

①現物経済

貨幣を使わず物々交換または、自給自足用の生産を行います。

 

貨幣経済

商品と貨幣を交換する経済で市場が発展し都市化が進みます。

 

③信用経済

銀行・証券市場・金融資本が発達し手形や小切手などの決済が行われます。

 

これらの交換手段を社会の変化と絡めて段階説にしています。

 

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シュモラーの経済発展段階説

シュモラーは、経済と政治の密接な関係から、政治組織を中心に6つの段階に分かれるとしています。

 

①家族経済

②村落経済

③都市経済

④領邦経済

⑤国民経済

⑥世界経済

 

と拡大していきます。

しかし、彼の属していた政治的立場から作られたものともいわれています。

シュモラーの経済発展段階説

カール・ビュッヒャーの経済発展段階説

カール・ビュッヒャーは生産者から消費者に到達する過程の長さから3段階に分類しています。

①封鎖的家内経済

家族単位で生活に必要なものを自ら生産する自給自足経済です。

外部との取引はほとんどありません。

 

②都市経済

家族単位から地域・都市へと経済活動が広がり地域的な交換経済になります。

職人なども誕生し地元での取引が増えます。

この段階では生産性と消費者が直接取引をします。

 

③国民経済

国家単位での経済活動が活発化し、国内市場が統合していき広域的な交換経済になります。

国内市場の統合の際に流通・交通インフラの発展が重要になります。

この段階では消費者に商品が届くまでに多くの経済を経由します。

 

また、これらの発展に重要なのは工業とし工業における段階説も作っています。

 

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マルクス経済学の段階説

マルクス唯物論的な考え方から

経済の変化には段階があり次のように変化していくとしています。

原始共産制

②古代奴隷制

封建社会

④資本主義社会

共産主義社会

 

社会が発展し古代奴隷制以降になると上下の格差が生まれるとして最終的には平等な共産主義に至るとしています。

 

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ロッシャーの段階説

ロッシャーは国は人と同じように生まれて成長して老いるとしていています。

 

①幼年期

生産性は低く、道徳や宗教に重きを置きます。

農業中心社会です。

 

②青年期

経済活動が活発化し、貿易や産業が発展します。

技術革新や都市化が進みます。

 

③壮年期

経済的にピークを迎えます。

制度や法律が整備され豊かになります。

 

④老年期

成長が停滞し富が集中することにより格差が拡大します。

結果として社会的緊張が高まります。

 

⑤終期

経済が衰退していきます。

イノベーションの不足や政治的腐敗などにより国への信頼が揺らぎます。

ロッシャーの段階説

ロストウの段階説

ロストウの成長の諸段階では社会の段階を5つの段階に分かれるとしています。

 

①伝統社会

産業の中心が農業の伝統社会です。

 

②離陸先行段階

技術移転や便利な機械、道具を使うことによる生産性の向上が起こります。

生産量が増えることにより余剰生産が生まれ輸出が始まります。

 

③離陸段階(停滞期)

産業化が進み国の中心産業が生まれグローバル市場で競争するようになります。

それに伴い輸出入を行うためのインフラも発展します。

 

④成熟段階(停滞期)

技術が発展し多くの産業が成長します。

また、インフラも更に発展し便利になります。

半面、田舎で農業をしていた人達が儲る職を求めて上京し都市化が進みます。

 

⑤高度大衆消費社会

高付加価値の産業を持っていてグローバル市場で大きな利益を得ています。

国民が大量生産、大量消費する社会になり生きるのに不必要な贅沢品や高級品を買う人も増えていきます。

 

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クローサーの国際収支の発展段階説

クローサーキンドルバーガーによって提唱された国の成長と資金の流れを関連付け6つに分類した説になります。

 

①未成熟な債務国

まだ、発展していないので資本は海外に頼っており同時に様々な物を輸入する必要がある状態です。

 

②成熟した債務国

国内産業が発達して輸出が増加、貿易収支は黒字になります。

借金をして成長している段階です。

 

③債務返済国

輸出がさらに増加して、経常黒字になります。

この黒字を使って借金の返済をしていく段階です。

 

④未成熟な債権国

輸出は黒字のままキープされています。

同時に借金を返し終わったことで貯金や投資を出来るようになります。

 

⑤成熟した債権国

賃金の上昇等により国外での価格競争力が低下します。

反面、資産からの所得が増えて所得収支が大きくなります。

 

⑥債権取り崩し国

輸出が更に悪化して経常赤字になります。

資産所得だけでは赤字を埋めきれずに資産自体を切り崩していくことになります。

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産業革命の4段階

第一次産業革命

18世紀後半~19世紀前半頃にイギリスを中心に起こりました。

紡績機・力織機等による繊維産業の機械化がおこり糸を紡ぐスピードが早くなりました。

コークス製鉄法により製鉄技術の改良がされました。

ワットによる蒸気機関の改良による蒸気機関車や蒸気船も生み出され輸送能力が上がります。

 

第二次産業革命

19世紀後半~20世紀初頭頃にドイツ、アメリカを中心に起こりました。

電気の利用により電灯やモーターなどが発明されます。

石油の利用により内燃機関のエンジンがでてきてフォードが自動車の生産をはじめます。

 

第三次産業革命

20世紀後半にアメリカ、日本、西欧を中心に起こりました。

コンピューターの利用により単純作業の自動化が起こります。

情報通信が発達しインターネットも現れます。

 

第四次産業革命

2010年代から現在の状態です。

AIやIoT(モノのネット接続)によるより広い範囲の自動化が求められています。

 

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日本政府のSociety5.0

Society1.0:狩猟社会

狩猟や採集で生活しています。

 

Society2.0:農耕社会

農業が開始され定住生活をするようになります。

 

Society3.0:工業社会

産業革命により労働の機械化が行われます。

 

Society4.0:情報社会

コンピューターとインターネットが発達し様々な産業にITが組み込まれます。

 

Society5.0:未来社

AIやIoT(モノのネット接続)ロボット、ビッグデータの活用が進むとされています。

ARやXRなどで現実世界とサイバー空間の融合なども行われます。

 

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